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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和24年(控)861号 判決

被告人

中川義作

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

弁護人塚本助次郞控訴趣意第一点。

原審は法令の適用を誤りたる違法がある。

即ち昭和二十三年七月二十三日物価庁告示第五百十四号は昭和二十四年十月八日物価庁告示第八百十三号に依つて廃止されたものである。然して其の新たなる告示第八百十三号に依れば、れんこだい、外六十一品目の魚類が再び価格を統制されて、廃止された物価庁告示第五百十四号に記載の百八十余種類のうち告示第八百十三号に列記しない分の魚類は全部廃止されたのであつた、之によつてさめ類、えそ、しいら、たら類及びわらずか等の魚類の統制は全部其の枠からはずされ昭和二十四年十月十四日を以て廃止されたのである。

斯様に犯罪の後法令によつて刑が廃止された時は刑事訴訟法第三百三十七条第一項第二号に依り判決で免訴の言渡しをしなければならないのに不拘原審が免訴の言渡しがなかつたのは法令違反である。(後略)と謂うのであるが、

昭和二十三年七月二十三日物価庁告示第五百十四号は昭和二十四年十月八日物価庁告示第八百十三号に依り改正せられた結果原判決認定の本件魚類中「さば」を除く其の余につき統制額の指定が廃止せられたことは所論の通りであるけれども右は告示の改廃であつて基本の罰則法規である物価統制令の改廃ではないのであるから被告人の本件所為が行為当時の統制額指定の告示に違反し物価統制令の罰則を以て律すべきものである以上該犯行後告示の改廃があつたとしても右は刑事訴訟法第三百三十七条第二号に所謂犯罪後の法令により刑が廃止せられたときに該らない、従つて原審が本件につき右刑事訴訟法第三百三十七条の規定に依らなかつたことは寧ろ当然である。(後略)(論旨は理由がない。)

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